日本アニメの底力:トップブランドに見るアニメを使った顧客獲得手法


これまでにないほど人気が高まっている日本のアニメは2017年、生誕100周年を迎えました。今でこそ、子どもから大人まで楽しめる多種多様なストーリー展開の中で、大きな瞳と鮮やかな髪の色をしているキャラクターが色彩豊かにかつイキイキと描かれていますが、その原点は1917年、手書きの白黒のアニメ動画でした。それが現在では430以上の制作スタジオが存在する業界へと発展し、日本国内にとどまらず世界中に数え切れないほどのアニメファンを獲得するほどの人気ぶりとなっているのです。


なまくら刀 塙凹内名刀之巻(1917年)




こうした日本アニメの認知度の高さに目をつけ、各業界の大手をはじめ様々な企業がアニメに熱視線を送っています。マーケティング戦略のひとつにアニメを導入し、アニメやマンガの人気を活用することでブランディングにテコ入れするという動きが盛んに見られます。



■ハリウッドも注目するアニメ市場

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韓国メディアが先日、ソニー・ピクチャーズとユニバーサルスタジオがファニメーション・エンタテインメント社の買収に意欲を示していると伝えました。ファニメーション・エンターテイメント社はアニメDVDの販売を手掛けているアメリカの企業で、東映アニメーション株式会社が持っている『ドラゴンボール』シリーズの海外ライセンスを所有しています。『ドラゴンボール』はとても有益な世界的フランチャイズであり、DVDが何作品も発売されているだけでなく、シリーズアニメも継続して放映されています。


こうした有名アニメやマンガに着想を得たエンターテイメントの成功はハリウッドからの注目を集めています。彼らは、より多くの知的財産を獲得しそれらを映画というジャンルで生かしたいと考えているのです。ただ、ファニメーション社がソニー・ピクチャーズやユニバーサルスタジオによる買収のメリットについて質問を受けた際にこう回答しています。「私たちは現在、グローバルに拡大し続けながら株主価値を最大化することに焦点を当てています」。


この回答は、大好きなアニメやマンガが実写化されることに不満を抱いていたアニメファンにとって大きな救いとなりました。彼らの不満は、実写版映画『ドラゴンボール』の工業動向や評価などを見れば一目瞭然です。


■アニメテーマのゲームがビデオゲームを超える日


マンガのストーリーに基づくビデオゲームや、アニメ形式でデザインされているビデオゲームはすでに浸透しています。さらに最近では、スロットなどオンラインのギャンブルゲームにもアニメテーマを持つものが登場しているのをご存知でしょうか?たとえば新しいところで言うとオンラインカジノ「ラッキーニッキーLuckyNiki」。ラッキーニッキーは日本アニメがテーマ設定されており、明るいピンクの髪を持つかわいいアニメキャラクター、ニッキーがホスト役になっています。このゲームは日本市場をターゲットにリリースされているものの、英語版も公開されており、世界のアニメファンにもこのテーマ設定が大きなアピールポイントになっています。

ラッキーニッキーLuckyNiki.com



■コマーシャルでも発揮されているアニメのちから


10年間にわたりヨーロッパ風のパンの販売を続けてきた、福岡を拠点とするローカルのパン屋さん「フランソワ」。これまでフランソワは宣伝のために、アニメ映画『となりのトトロ』の監督とデザインで類い稀な感性を発揮しているアニメーター・佐藤好春にブランドコマーシャルの制作を依頼してきました。


コマーシャルの登場人物は母親のベーカリーで働く17歳の少女カシスとハンサムな青年アルル。この10年間のコマーシャルの中では、この2人のキャラクターの関係性が築かれていく様子が描かれてきました。そしてコラボレーション10周年記念の際には、彼らのラブストーリーを振り返る、心温まる新しいアニメコマーシャルが佐藤氏によって制作されたのです。


コマーシャルにアニメを用いている企業はフランソワだけではありません。世界的企業であるトヨタ自動車もアニメ広告を展開しています。たとえばトヨタのプリウス広告「PRIUS! IMPOSSIBLE GIRLS<プリガー>」。

Toyota - Prius ! Impossible Girls



この商用広告では、プリウス車をはじめトヨタのあらゆる車の主要部品パーツをアニメの女の子に擬人化しています。モーターエンジンをアニメの女の子に例えるという斬新なアイディアにより、トヨタはファンタジーと現実世界の融合を図り、注目を集めているのです。